スタッフブログ

EDIの種類やWeb-EDIの問題点など

2020年02月26日 スタッフブログ 開発 関戸 

システム開発課の関戸です。

先般、EDIデータに関連するシステム改修のお手伝いをさせて頂きました。具体的には、取引先ごとにEDIのデータ形式が変更になるため、その形式に合わせたCSVデータの出力・取込を行いたいというものです。このお客様の場合、必要となるCSVのデータ形式が合計10パターン近くになってしまいました。

しかし、

  • 「EDIって仕様が統一されているのでは?」
  • 「取引先ごとに仕様が異なるのはなぜ?」
  • 「これではEDIを使用するメリットがないのでは?」

という素朴な疑問を感じておりました。

そこで、なぜこのような事になっているのかを自分なりに調べてみた結果を投稿いたします。

そもそもEDIとは?

EDIとは、電子データ交換(Electronic Data Interchange)の略語です。受発注・出荷・請求・支払などの各種取引データを通信回線を通じて、企業間でやり取りする電子商取引の仕組みのことです。受発注から請求支払までの取引業務を自動化できるので、業務効率化に役立ちます。

引用:https://boxil.jp/mag/a2523/

まとめると、各種取引を紙ではなくデータでやり取りする仕組みの事です。本来なら、手作業が減り、誤入力防止や業務効率化、ペーパーレス化が可能となるメリットがあるはず?です。

EDIの種類

EDIは、プロトコルや標準形式など、いろいろな分類方法がるようです。自分なりに整理するとこのようになりました。

1、通信手順(プロトコル)

まず、EDIの種類は、通信手順(プロトコル)で分類することができます。現在の代表的な通信手順(プロトコル)は下記6種類が代表的なものとなっているようです。

EDIINT AS2 ウォルマートやカルフール、Amazonなどの多くのグローバル企業が採用。
OFTP2 欧州の自動車業界を中心に利用され、国内の自動車業界でも利用の動きがある。
ebXML MS アジアを中心に様々な業界で利用されている。
JX手順 日本独自の規格で、 JCA手順の後継プロトコルとされているが、小売・流通業以外の業界も採用。
SFTP 企業内や企業間でのファイル交換に幅広く利用。
全銀協標準通信プロトコル 主に銀行・金融業界で採用。

引用:https://www.dal.co.jp/acms/protocol/index.html

2、標準EDI形式

次に、標準EDI形式です。上記の通信手段(プロトコル)を用い、各業界団体がその業界の標準EDI形式を定めています。標準EDI形式は、業界ごとに定めているため、数多く存在しているようですが、代表的なものは下記となります。

使用する回線 標準EDI形式 採用プロトコル 採用業界団体
電話回線 JCA⼿順 流通業界
全銀⼿順 銀⾏業界/電子部品業界/化学業界
インターネット回線 流通BMS EDIINT AS2、ebXML MS、JX手順 流通業界/小売業界
ECALGA ebXML MS 電子機器・部品業界
CEDI 全銀協標準通信プロトコル 化学業界
JD-Net ebXML MS 流通業界/電子部品業界
CI-NET 全銀協標準通信プロトコル 建設業界

上記のうち、電話回線を使用して通信するものを「レガシーEDI」とも呼ぶようです。

EDIの仕様変更が多くなっている背景

すでにEDIを導入されている企業の場合、「2024年問題」というものが発生しているそうです。これは、ISDN回線が2024年に終了する事に関連する問題のようです。上記の標準EDI形式のうち、電話回線を使用している「レガシーEDI」は、ISDN回線を利用しているため、2024年以降は使用できなくなります。そのため、インターネット回線を使用して通信する標準EDI形式に移行しなければならないという問題が発生しているようです。EDIに関する問い合わせが多くなっているというのも、こちらが原因のようです。

EDIとWeb-EDIの違い

インターネット回線を使ったEDIへの移行の選択肢として、現在最も多いのがWeb-EDIを導入するという方法のようです。現在ではWeb-EDIの比較サイトまで登場しています。

多くのWeb-EDIの場合、ASPサービスとして提供されています。利用者側はブラウザを通じてこれらのサービスにログインし、CSVファイルをアップロード(またはダウンロード)するという形式を取っています。

主なWeb-EDIサービスは下記の通りです。

  • OpenText

https://www.opentext.jp/products-and-solutions/products/business-network/b2b-managed-services

  • スマクラ

https://www.scsk.jp/product/common/smcl/index.html

  • Internet EDI Agent Service

https://www.dtcom.jp/businessmodel/internet-edi-agent-service/

  • NI+C EDIシリーズ

http://www.niandcinfotrade.co.jp/

  • EdiGate/POST

https://www.daikodenshi.jp/solution/edigatepost/

  • らくうけーる

https://www.rakuuke.com/

  • JFT/SaaS

https://www.jft-edi.jp/saas/

Web-EDIの問題点

Web-EDIは、ASPサービスですので短期・低コストで導入できるというメリットがある一方、CSVファイルのフォーマットが統一されておらず、各サービスの独自フォーマットになってしまっているのが実態のようです。そのため、取引先が異なるWeb-EDIを導入した場合、それぞれに合わせたCSVファイルを生成・取込しなければなりません。あるお客様の事例では、同じJX手順にも関わらず、取引先ごとに採用しているWeb-EDIが異なるため、それぞれに合わせたCSVファイルを生成・取込しなくてはならないという事態になっています。

Web-EDIの問題点

EDIの今後の動向

調べてみると、やはりこのWeb-EDIの仕様が統一されていないという事が問題になっており、仕様統一に向けた動きもあるようですが、2024年問題もあり現在は過渡期にあるようです。また、現在は業種ごとに標準EDI形式を制定していますが、業界横断EDI形式の制定も進められているようです。

と数年すれば、本当に効率的なEDIの時代になってくるかもしれません。